はじめに
ラベンダーの香りは、リラックスして眠りの質を高めたいときの定番。ヨーロッパで長く愛されてきた歴史に加え、近年はアロマテラピー研究でも「ラベンダーの香りが睡眠の質をサポートする」ことが示されています。
本記事では、よく使われるラベンダー精油5種類を「リラックス系」「リフレッシュ系」「マイルド系」に分け、香りの違い・おすすめの使い方・選び方のコツを解説します。
代表的なラベンダー精油5種類
一般にアロマテラピーで「ラベンダー精油」といえば、真正ラベンダーとも呼ばれるラベンダー・ベラの精油を指します。
「ベラ(vera)」はラテン語で“真実”の意で、真正=本来のラベンダーを表す呼び名です。
穏やかなフローラル調でリラックスに優れ、安眠アロマの定番として広く親しまれています。就寝前のディフューズやピローミストなど、睡眠サポート系のグッズにもよく用いられ、「快眠を後押しする香り」というイメージが浸透しています。
とはいえ、「ラベンダー精油」はひとつ(=ラベンダーベラのみ)と思われていますが、フロリハナでは以下のスパイク、ストエカス、ラバンジンなど、香りの個性や成分が異なるラベンダー精油も取り扱っています。
目次
ラベンダー精油とは?まずは定番の「ベラ」から
同じ「ラベンダーベラ」でも、育つ環境によって香りや成分のバランスは少しずつ変化します。
ここでは「ラベンダー ベラ(栽培種)」と「ラベンダー ベラワイルド(野生種)」の2種類をご紹介します。
いずれもラベンダー精油の代表種、ラベンダー・アングスティフォリア(Lavandula angustifolia) から採油されていますが、栽培環境の違いによって香りのニュアンスや成分比率に個性が生まれます。
どちらもやさしいリラックス系ラベンダーで、副交感神経を整え、心を落ち着かせる香りとして知られています。更年期や生理中のイライラをやわらげたいとき、不安や緊張を感じるときにもおすすめです。
香りの系統は共通しつつ、ラベンダー・ベラ(栽培種) はやわらかく整った印象、ラベンダー・ベラ・ワイルド(野生種) はより自然味のある深みが特徴の香りです。
どちらも優れた「リラックス系ラベンダー」ですので、香りの好みやその日の気分でお選びください。

ラベンダーベラ(栽培)
ラベンダーベラはフランス・プロヴァンスの高地で丁寧に栽培された真正ラベンダー。
世界中で「これぞラベンダー」と連想される、まろやかで上品なフローラルが特徴です。
大地を思わせる奥行きのある香りの中に、ラベンダーらしい気品と華やかさが共存し、はじめてのラベンダー精油としても選ばれています。
リラックス効果が期待できる酢酸リナリルやリナロールが豊富に含まれています。
鎮静作用や心のバランスを整える効果が期待できるため、仕事の緊張がなかなか取れない時や、生理前後や更年期でイライラしてしまう時など、気持ちを落ち着けたい時、穏やかな気持ちで眠りたい時におすすめのラベンダーです。

ラベンダー ベラワイルド(野生)
ラベンダーベラワイルドはフランスの標高1,300m以上の山地で自生する真正ラベンダーから得られる精油。
透きとおる清潔感のあるフローラルに、空へ抜けるような広がりと深みがあり、栽培種に比べて複雑で奥行きのある香りです。
酢酸リナリルやリナロールがバランスよく含まれ、とくに酢酸リナリルが高めとなるロットも見られ、深いリラックスを求めるシーンに選ばれます。
明るい気持ちに導くリフレッシュ系ラベンダー
スパイクラベンダーとストエカスラベンダーは、いずれも「リフレッシュ系」に分類されるラベンダーです。
どちらもラベンダーに典型的なリラックス成分(リナロール、酢酸リナリル)に加え、カンファーや1,8-シネオールを比較的多く含むため、気分転換をしたいときや頭をクリアに切り替えたいときに選ばれやすいタイプと言えます。
交感神経にスイッチを入れるような清涼感があり、生理や更年期にともなう憂うつ感、気持ちが沈みがちなとき、考えごとで頭が重い夜などにも、心をすっと軽くしてくれます。

スパイクラベンダー
別名:ラベンダー・スピカ。
若草を思わせるハーブ調でクリアな香りが特徴です。
真正ラベンダー(ベラ)に多いエステル類(酢酸リナリル)は少なめで、カンファーや1,8-シネオールが目立つロットが多く、すっきりと前向きに切り替えたいリフレッシュ系ラベンダーです。

ストエカス ラベンダー
別名:フレンチラベンダー。
クスノキ(樟脳)を思わせるカンファー調に、ほのかな甘いフローラルが重なる個性的な香りです。
人によってはアプリコットリキュールのような甘酸っぱさを感じることも。
華やかで軽やかな一方、すっきり感のあるリフレッシュ系ラベンダーです。
どんな気持ちにもフィットするマイルド系ラベンダー
ラバンジン・スーパーは、ラベンダー・ベラとスパイクラベンダーのハイブリッド(交雑種)。
両者のよさを受け継ぎ、リラックス寄りの甘いフローラルとリフレッシュ寄りのクリア感がバランスよく調和した、「マイルド系」のラベンダーです。

ラバンジンスーパー
ラベンダーらしい甘さを淡くやわらげたマイルド系の香りが特徴。
やさしいフローラルの中にほのかなカンファー調を感じられ、少しシャープなラベンダーの香りです。
また、真正ラベンダーよりも丈夫で生育が早いため精油の採油量が多く供給が安定しています。
自分好みのラベンダーで快眠しよう
「ラベンダー精油」とひと言でいっても、その香りは多彩です。
まろやかに包み込むベラ、透明感のあるベラ・ワイルド、すっきり爽快なスパイクやストエカス、そしてマイルドで使いやすいラバンジン。
気分やシーンに合わせていくつか試してみると、いまの自分にしっくりくる相性のよいラベンダーが見つかります。
5種類を比較(早見表)
品種 | 系統 | 香りの印象 | おすすめシーン |
---|---|---|---|
ベラ (栽培) | リラックス | 上品でやわらかいフローラル | 緊張をほぐしたい夜 |
ベラ (野生) | リラックス | 透明感のある深いフローラル | 深く安らぎたい夜 |
スパイク | リフレッシュ | ハーバル&ウッディ | 気分転換して眠りたい |
ストエカス | リフレッシュ | きりっと&クリア | 落ち込みを晴らしたい |
ラバンジン | マイルド | スーとする&フローラル | ふとした瞬間に癒されたい |